一次救命処置(心肺蘇生法)

こんにちは!
PT/ATの田原です!

今回は,「一次救命処置(心肺蘇生法)」についてまとめていきます!

一次救命処置とは,心肺機能が停止した傷病者に対して,119番通報,気道確保,人工呼吸,胸骨圧迫を行うことにより,自発的な血液循環を回復させる試みを指し,医療従事者に限らず誰でも行える心肺蘇生法と呼ばれています.スポーツトレーナーとして活動する上で,欠かせないスキルの一つとされています.
突発的な心肺停止の傷病者を救命するためには「救命の連鎖(Chain of survival)」と呼ばれる以下の4つの手順が実施される必要があり,アメリカ心臓病協会(American Heart Association:AHA)は,この手順を心肺蘇生を成功させるために不可欠な手順であると強調しています.
・迅速な通報
・迅速な救命処置(気道確保,人工呼吸,胸骨圧迫)
・迅速な電気的除細動(AED)
・迅速な二次救命処置

4つの手順のうち,迅速な通報,迅速な救命処置(気道確保,人工呼吸,胸骨圧迫),迅速な電気的除細動(AED)の3つは,スポーツトレーナーに関わらず一般の方でも行えるようになっておくことが大切だとされています.

傷病者を発見した場合の対処の流れについて記載していきます.

①周囲の観察

傷病者や自分の周囲を観察し,自分自身の安全が確保されているかどうかを確認します.左右だけでなく,上(上空)や下(地面)なども十分に確認します.

②全身の観察

傷病者の全身を観察します.出血がある場合,感染のリスクがあるため,ゴム手袋などを装着してから傷病者に触れることになります.ゴム手袋がなければ,ビニール袋などで代用することもあります.
傷病者への救急処置としては,止血が最優先とされていますので,出血の有無を確認して出血が確認された場合は,各種止血法(基本的な止血法について)を実施します.

③反応(意識)の確認

出血がない,または,止血が完了したことが確認されたら,傷病者の反応(意識)の確認をします.傷病者の顔(耳)の近くで「もしもし!大丈夫ですか!?」と大きな声ではっきりと声かけをしていきます.2〜3回程度声かけをし,反応(意識)があれば,状態を観察しながら医師の診察を促していきます.この時,傷病者が自分自身で動けない場合,救助者が安全に動かせないと判断した場合は,119番通報をして救急車を呼びましょう.
反応がない場合は,ただちに心肺蘇生法が必要と判断できます.

④協力者を求める

心肺蘇生法では,119番通報(1名),AED運搬(1名),人工呼吸・胸骨圧迫(1〜2名)を行うので,3〜4名の協力者が必要となります.救助者が指揮を執って,協力者を募り指示を出していきます.この時,「誰か119番通報をお願いします!」と曖昧な指示ではなく,「あなたは119番通報をお願いします!」と誰がその役割を担うのか明確になるように指示を出すことが大切です.
周囲に協力者がいなかった場合には,救助者が119番通報し,すぐ近くにあればAEDを準備します.近くにAEDがない場合は,AEDよりも人工呼吸・胸骨圧迫を優先し,救急隊の到着を待ちます.

⑤呼吸の確認

傷病者が正常な呼吸をしているかどうかを確認します.正常な呼吸が確認されれば,軌道を確保し回復体位にしてから観察を継続します.
正常な呼吸が確認できない(判断に自信が持てない)場合は,直ちに胸骨圧迫を開始していきます.
ここに10秒以上かけないようにします.

⑥胸骨圧迫

俗に言う「心臓マッサージ」です.脳に十分な血液(酸素)を送り込むために,心臓のポンプ機能を代行します.
心臓マッサージで肋骨が折れてしまい,それが原因で命を落とすといった報道も目にしますが,胸骨圧迫が適切に行われていれば,肋骨が折れるリスクはかなり低いとされています.

⑦人工呼吸

血中に酸素を送り込むために人工呼吸を行います.特別な用具が必要なわけではありませんが,一方向弁付き呼気吹き込み用具などがあるのであれば,使用していきます.
近年では,救急隊が到着するまでの間にSPO2(動脈血酸素飽和度)はそれほど低下しないことがわかってきており,人工呼吸は不要とする報告もあります.
正しい胸骨圧迫と人工呼吸について
⑥・⑦を正常呼吸が確認されるまで,もしくはAEDが到着するまで継続します.

⑧AEDの使用

AED(自動体外式除細動器)は心室細動に対して効果があります.電極パッドを装着すると,AEDが傷病者の心電図を解析し除細動の要・不要を判断します.
AEDの電源を入れると,音声メッセージが流れますので,それに従っていくと正常に使用することができます.

一次救命処置の一連の流れ

⑨救急隊への引き継ぎ

⑤〜⑧を繰り返し行い,救急隊員が到着したら,救急隊への引き継ぎを行います.この際,救急隊が到着するまでの状況をより詳細に伝えることも大切とされていますので,人員的に余裕がある場合は,メモをとるなどして,経過を報告できるようにしましょう.

※気道異物の除去

反応(意識)があっても,返答ができない,喉をつかむような仕草をして苦しい様子であれば,気動に異物が詰まっている可能性があります.その場合には,気道異物除去の処置を行います.(気道異物除去の方法について

もしもの時に,上記のような一次救命処置を行うことができれば,救命率が大幅にアップするとされています.スポーツトレーナーとして活動する際には,必ず身につけていきましょう!