[voice icon=”https://sports-trainers-share-site.com/wp-content/uploads/2019/01/13.png” name=”だいじろう” type=”l”]こんにちは!
STSSトレーナーのだいじろうです!
今回は、コンディショニングの要素のなかでも『心理的因子』についてまとめていきます。
心理的なコンディションは目に見えて分かるものではないので、非常に対応が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか?
基本的な部分をまとめていますので、参考にしてみてください![/voice]
コンディショニングの要素〜心理的因子〜
試合で負けてしまった後の、アスリートや指導者の反省の言葉として
「あがってしまいました」
「集中できませんでした」
「弱気になってしまいました」
という言葉をよく耳にします。
こういった言葉からも、競技スポーツにおける心理的コンディショニングの重要性がうかがえます。
アスリートだけでなく、指導者も心理的なコンディショニングの重要性を感じているのに、大会後は、また技術練習と体力トレーニングに注力してしまいます。
これは、心理的課題の解決の必要性は理解されていますが、具体的な対処法がわからないのが要因だと考えます。
そういった背景もあり、近年では、アスリートの心理面をサポートするスポーツメンタルトレーニング指導士の資格認定が行われるようになりました。
しかし、メンタルトレーニング指導士が配置されているチームはごくわずかです。
そのため、日頃からサポートしているスポーツトレーナーが心理面も含めてコンディショニングをおこなっていくことが求められます。
興奮水準のコントロール
興奮水準と競技パフォーマンスの関係
興奮(緊張)とパフォーマンスの関係は、逆U字の曲線を描きます。
最高の競技パフォーマンスを発揮できる興奮の最適水準があります。
その最高水準にできるだけ近い状態でプレーできるように興奮をコントロールしていくことが重要な課題になります。
この興奮の最適水準は競技種目や個人によって異なるとされています。
たとえば、弓道や射撃にように正確さが要求される競技の場合は、興奮の最適水準は比較的低く、ウェイトリフティングのように一気にエネルギーを発揮することを要求される競技では最適水準は比較的高くなります。
また、同じ状況下におかれても「内向的な性格」のアスリートは「外向的な性格」のアスリートより興奮水準が高くなる傾向があるともいわれています。
競技種目の特性や個人差も考慮した上で、興奮の最適水準を見つけ出す努力が求められます。
過剰に興奮しているときのコンディショニング
試合では、いろいろなストレスから最適水準を越えた興奮状態でプレーするアスリートが多いです。
そういったアスリートにたいしては、試合直前や試合中に興奮水準を下げる必要があります。
アスリートが主に用いている興奮水準を下げる方法は、『呼吸法』『漸進的筋弛緩法』『自律訓練法』の3つです。
試合の直前や試合中に興奮水準を下げる場合には、呼吸法と筋弛緩法が有効とされています。
ここでは、その2つの方法についてまとめていきます。
呼吸法
緊張した時に、腹式での深呼吸をおこなうことによって心身のリラックスが図れます。
鼻から3秒ぐらいで息を吸って、約2秒間息を止め、口から6秒ぐらいで細く長く息を吐き出す。
息を吐く時に肩の力を抜くように意識するとより効果的です。
漸進的筋弛緩法
ジェイコブソンによって開発された身体の緊張と史観を手がかりにしたリラクゼーショントレーニング。
意識的に筋を緊張させ、一気に脱力させることによって筋が弛緩する感覚をつかむ訓練です。
1.右手
2.左手
3.右足
4.左足
5.両手
6.両足
7.両手→両足
8.両手→両足→胸
9.両手→両足→胸→腰
10.両手→両足→胸→腰→顔
の順で、緊張と弛緩を繰り返すことによって興奮水準を下げることができます。
興奮水準を高めるためのコンディショニング
試合の直前になっても興奮水準が最適水準よりも低い場合は、興奮水準を高める必要があります。
この興奮水準を高めることを「サイキングアップ」といいます。
準備運動は、身体の準備だけでなく、興奮水準を高め、心理的側面から試合の準備をおこなう役割もあります。
また、試合の直前や試合中にみられる、身体をたたく、足を動かすなどの動作は、興奮水準を高める効果が期待できる。
興奮水準を高めるには、物理的な刺激だけでなく、「不安」や「意欲」などの思考も重要です。
心理的なコンディショニングという観点から、この思考に関するサポートが特に有効であることが多いとされています。
思考方法をコントロールする
競技パフォーマンス発揮の妨げになるマイナス思考
パフォーマンス発揮を妨げる主な原因の一つに、“失敗を恐れる”という不安がある。
試合では“勝ちたい”という欲求が高まります。
この勝利欲求が高まると、負けることを恐れ、“失敗できない”というマイナス思考になることも多くあります。
マイナス思考の悪い例として、ゴルフで池があると“池に入れてはいけない。けれど入れてしまうかもしれない。”と不安になり、結果的には池に入れてしまうという「池ポチャ現象」があります。
“失敗してはいけない”というマイナス思考は、興奮水準を高めてしまうだけでなく、失敗のイメージをもって行動してしまうことにもつなあり、予測した通りに失敗してしまうことが多くなります。
よくあるのが、勝てるかもしれないと感じた時。
この時、アスリートは「これで失敗さえしなければ勝てる」と考えてしまいます。
この「失敗しなければ」というマイナス思考は、“消極的なプレー”を導くことになります。
スポーツトレーナーとしては、この「マイナス思考」にアスリートを陥らせないようにすること、陥ったときに「プラス思考」に思考を変えるよう働きかけることが大切です。
マイナス思考をプラス思考に
プラス思考が大切であることはわかっていても、マイナス思考から脱することができないアスリートは多いです。
このようなアスリートにはセルフトークが効果的です。
「負けてしまう」「失敗しそう」と感じて過緊張状態になってしまった場合に、「やるだけのことをやればいいんだ」「思い切り攻める」と声に出すことです。
それにより、氣持ちが切り替わり、落ち着いてプレーすることができるようになります。
セルフトークが有効でない場合には、試合前に“成功イメージ”を何度もリハーサルできるように働きかけます。
マイナス思考に陥った場合には、成功イメージを描くことで、マイナス思考から脱することができるようになります。
また、「ため息をついたら幸せが逃げる」ということわざがあるように、マイナスの行動を無意識にすることによって、よりいっそうマイナス思考が強くなることがあります。
アスリートが試合中にどのような行動をしているのかを分析し、どのような行動がマイナス思考につながり、どのような行動がプラス思考に導くのかを明らかにしていきます。
そして、そのプラス思考に導く行動を意図的に行うことも、マイナス思考を脱する方法として有効です。