トレーナーの活動の実際〜合宿・遠征・試合編〜

合宿・遠征・試合で、スポーツトレーナーはどんな活動してるの?

アスリートやチームが目指すものは、掲げた目標にたいして、試合で勝利をおさめ、良い成果を出すという最終目標を達成することです。

そのために、日々の練習やトレーニングを積み重ね、合宿でアスリートやチームの強化や組織づくりをします。

さらに遠征などの経験を通して、アスリートの能力やチーム力、戦略、戦術を確認し、目標達成のための精度を上げていく努力をしています。

こういった取り組みがアスリートやチームの活動の大部分を占め、スポーツトレーナーはその合宿や遠征、試合など、通常の練習とは異なる環境下でのサポートも重要となります。

そのためにも、スポーツトレーナーは合宿や遠征、試合という異なる目標・異なる環境下で活動していくための注意点やポイントを理解しておきましょう!

 

合宿におけるトレーナー活動

スポーツトレーナー

合宿はおもにアスリートやチームの強化および組織づくりなどチーム力を向上させることが目的となります。

そのため、練習時間、練習頻度、練習量、練習強度や生活習慣などが普段とは異なる環境下で強化がおこなわれます。

活動内容としては、アスリート個々の筋力・体力強化や、フォーメーションの確認、チーム全体の強化やメンバーで一般生活をともにすることでメンバーで一般生活をともにすることでメンバーやスタッフ同士の結束を固めるために行われる場合や、チーム内でのルールの確認や競技者教育が行われる場合もあります。

スポーツトレーナーは合宿期間中、おもにアスリートのコンディションづくりに励み、故障や病気にかかることなく、合宿に競技者全員が参加し、強化できるようトレーニングや練習のサポート、教育などアスリートのコンディションづくりのために計画し、日常生活からスポーツ活動までをサポートしていくことが役割となります。

合宿は、一定期間、アスリートやスタッフが日常生活から侵食をともにする集団生活をしながら、アスリートやチームの結束や強化をはかります。

そのため、普段とは異なった生活環境におかれるので、スポーツ活動の管理はもちろん、睡眠、食事、急用などの生活環境までをサポートする必要があります。

生活環境では、集団生活が強いられ、自分自身のペースを乱してしまうこともあり、ストレスによって疾病や外傷・障害を生じやすい環境になります。

これは、アスリートだけでなくスタッフも同様なので、ストレスマネジメントを考慮して計画を立てていくことが必要です。

 

実際に合宿が始まって、その生活リズムに慣れるまで一定の期間を要します。

合宿開始からおよそ3〜4日目には心身疲労のピークを迎えることが多く、そのピーク時には、疾病や外傷・障害が発生するリスクが高くなります。

そのため、スポーツトレーナーは練習計画やスケジュール調整など、アスリートの体調を管理する上で、それらを阻害する因子を察知し、ケガや病気の発生の防止に務めることが大切です。

 

【合宿での活動内容】
1.体調管理
1)体重のチェック
2)安静時体温のチェック
3)安静時脈拍のチェック
2.ケア
1)トレーナー室の準備
2)ケアの方法と時間の調整
3)ケアの実施
3.スポーツ活動中のサポート
1)練習時のサーフェイス、用具などの確認
2)ストレッチング、テーピングなど
3)救急処置
4.アスレティックリハビリテーションの指導とサポート
1)アスレティックリハビリテーションのメニュー作成
2)アスレティックリハビリテーション時の確認
5.教育・指導
1)生活スタイルや生活リズムの作り方
2)食事の重要性
3)睡眠の質の確保
4)疾病への対処
5)疲労への対処
6)外傷・障害への対処
7)水分の補給
8)暑さ・寒さ対策
9)ウォームアップとクールダウン
10)トレーニング
11)ドーピング
12)試合に対する考え方
6.スケジュールのチェック
1)食事の時間・タイミング
2)休息時間の確認
3)移動手段と時間の確認
4)アスリートのケアの時間
5)起床・就寝時間
7.食事についてのアドバイス
1)食事時間のアドバイス
2)食事内容のアドバイス
3)捕食のアドバイス

 

遠征におけるトレーナー活動

スポーツトレーナー

遠征は、日々の練習や合宿で積み重ねてきた強化対策の成果を見極めるための実践中心の強化対策として位置づけられます。

アスリートの能力やチーム力を実践的な試合形式で確認し、試合を想定した戦術や戦略の最終調整としておこなわれるため、スポーツトレーナーは試合を想定したトレーナー活動のスケジュールの確認などのリハーサルとして活用できます。

遠征も合宿と同様に、日々の練習環境と異なった環境でおこなわれるため、日常生活をふくめたサポート体制が求められます。

また、合宿は1ヶ所に滞在することが多くなりますが、遠征では頻回に移動して試合をおこなうことが比較的多くなるため、移動時のコンディション管理も必要になります。

 

実際の活動スケジュールは、試合に合わせて食事時間や内容、練習、ウォーミングアップなどの時間を決め、そのスケジュールがアスリートのコンディションを維持する上で妨げにならないかを他のスタッフと検証しながら進めていきます。

スポーツトレーナーは競技者の健康状態をつねに把握できるように努め、移動、ウォームアップ、クールダウン、食事などを管理していくことになります。

 

【遠征時のチェック】
1)遠征の目標と期待する効果
2)全体スケジュール
3)試合時間
4)ウォームアップ時間
5)食事時間と内容
6)移動時間と移動手段
7)宿舎環境
8)トレーナー活動場所の確保
9)準備物品
10)その他

 

試合におけるトレーナー活動

スポーツトレーナー

試合は、日々の練習やトレーニングで積み重ねてきたこと、合宿・遠征で強化した成果を表現する場であり、決して特別なことをするわけではありません。

そのため、スポーツトレーナーは、日頃からおこなっていること、いつも準備していることを試合の期間中に円滑に行えるように努めることが必要です。

試合に関しては、さまざまな状況があり、次のように分類されています。

 

長期の試合期間

プロスポーツのシーズンでは、開始から終了までに、数ヶ月から半年を要し、その期間中、週に1〜2日間開催、1日1試合行われます。

野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビーなどのリーグ戦がこれに当たります。

リーグに参戦する場合には1年間のスケジュールが、①オフシーズン、②プレシーズン、③レギュラーシーズン、④ポストシーズンの4つのシーズンに期分けされることがあり、そのシーズンによって合宿や遠征のスケジュール、トレーニングの計画などが組まれます。

 

短期の試合期間

試合期間が1週間から数週間の短期間に結果がでるもので、国体やインターハイ、インカレなどの国内大会やアジア大会、オリンピックなどの国際協議会がこれに当たります。

1日1試合あるいは数試合行われることがあります。

 

試合におけるスポーツトレーナーの役割についてまとめていきます。

試合当日のコンディショニング

個人スポーツ、チームスポーツにかかわらず、試合の開始時間にあわせたコンディショニングが求められます。

コンディショニングの方法(技法、手法、程度、所要時間など)についても効果的で効率的なものを選択し、さらに競技前・競技中・競技後のタイミングによって、それらを効果的に選択していくことになります。

1日に複数の試合が行われたり連日行われる場合があり、試合間の時間を、次の試合のためのコンディショニングとして考えていくことが大切です。

 

疾病の防止

試合期間中に起こりうる疾病として、風邪、下痢、腹痛などがあげられますが、とくに注意が必要なのは風邪です。

風邪は、一般的にも多い疾患で一度ひいてしまうとコンディションを戻すのにかなりの日数がかかることも少なくなく、チームスポーツの場合、一人がかかってしまうと他のアスリートにまで感染してしまいチームに蔓延する可能性があります。

そうなると、チーム全体のコンディションを大きく崩す原因となってしまうため、十分な予防策と対処方法を講じておく必要があります。

 

【具体的な予防策】
①うがい・手洗い励行
かぜの予防に最も有効な手段は運動前後、帰宅後、就寝前などに必ずうがいと手洗いをすることを習慣として身につけることです。
②冷暖房の調整
冷暖房をかけたまま就寝しない。暑さで寝付かれない場合は就寝前に室内をいったん冷やした後に冷房を切るなどの工夫が必要です。
③その他
栄養、休養をしっかり確保できる環境が重要です。

 

試合中の安全対策

試合会場の救護体制は、競技や種目によってさまざまで、どんな体制になっているかを事前に確認することが大切です。

特にAEDや担架など緊急で使用するものが、「どこにあるか?」「どんな流れで使用できるか?」を確認しておく必要があります。

バレーボールやバスケットボール、ラグビー、サッカーなどの競技では、ゲームドクターが配備されている場合があり、大会中に発生したアクシデントに対応する準備がされています。

医学的な問題が生じた場合には、ゲームドクターに相談することも大切です。

陸上競技の主要大会においてはドクターとスポーツトレーナーが連動した救護体制である『3ステーションサポートシステム』を実施し、アスリートのメディカルサポートを運営全体でおこなっています。

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携行品

試合で必要と思われるものを準備し不測の事態に備えます。

・テーピング
テーピングに必要なテープ類は、テープの種類、サイズ、量など試合数や練習数に合わせ、その1.5倍を目安に用意します。不足するより十分な量があったほうが安心です。

・外傷時の対応品、救急用品
トレーナーバッグ、治療機器、医薬品などを用意します。
不測の事態に備え、CPRマスク、アンビュバッグ、各種固定器具、補装具などはその競技や種目にあわせ随時用意します。
また、トレーナーバッグは、日頃から整理整頓し、不足しているものがないかを常にチェックしておくことが大切です。

・給水機器
試合時の水分補給を管理するために、ガロンタンク、スクイズボトルあるいは紙コップ、クーラーボックス、氷、飲料水を準備します。
飲料水の捕球の仕方や、1試合の消費量などは事前に調べ、物品を準備しておくことが必要です。

・その他
テーピングやコンディショニングに用いる携帯テーブルや治療機器など、アスレティックトレーナーの業務に必要な物品を準備し携行します。

 

ドーピングコントロール

最近は、国体や各競技の全国大会などの国内の大会においても、ドーピング検査が実施されるようになりました。

スポーツトレーナーや競技者はもちろんですが、コーチ、マネージャーもドーピングについての十分な知識をもっておく必要があります。

とくにスポーツトレーナーが検査の対象に選ばれたアスリートに同行することが多いため、手違いのないようにあらかじめ必要な書類や手続きを理解しておくことが大切です。

 

チームスケジュールへのアドバイス

スポーツトレーナーは、つねにアスリートのコンディションの状況を把握していなければならないため、チーム全体のスケジュールを作成する際には、移動方法や移動時間、食事の時間、ケアの時間、練習時間においても、必要であればスケジュール調整にたいしてアドバイスし、深く関わることが必要です。

 

アスリートのケア

スポーツトレーナーが活動する場所の設置は、スポーツトレーナー業務を遂行するのに、活動しやすい状態(治療機器や治療用ベッドのレイアウトなど)やアスリートがリラックスできるような状態を整え、アスリートを効率よくケアできるような環境をつくることが大切です。

アスリートのケアは、おもに練習や試合後におこなわれ、夜遅くなることもあるため、あらかじめスケジュールに組み込んでおくことや、ケアするアスリートの人数や時間を調整することで、効率のよいスケジュールを組み、アスリートにたいするケアの過不足、公平さを考慮してコンディショニングに努めることが大切です。