サッカー日本代表のメディカルサポートってどんな仕組み?

サッカー日本代表のメディカルサポートってどんな仕組み?

1993年に日本にプロサッカーリーグJリーグが発足しました。

プロ化にともなって、プレーヤーはもちろんですが、指導者、サポートスタッフ、環境面においても年々レベルアップがはかられてきました。

その結果として、1998年のワールドカップ初出場を果たすと、その後、連続出場を続けています。

その背景にはメディカルサポートスタッフの貢献もあるようです。

サッカー競技での現場へのサポートの始まりはトレーナーよりもドクターの方が早く、他競技と比較してサッカー競技の最も特徴的なところは、このドクターの存在であり、現在でも医学的な問題についての発言は、日本サッカー協会スポーツ医学委員会を中心にすべてドクターが行なっている。
日本サッカー協会、日本代表チームでの医学的管理は代表チームドクターの責任の下、アスレティックトレーナーがサポートを行なっている。またアスレティックトレーナーはドクターへのサポートだけでなく、コーチと協力してコンディショニングも行なっている。

他の競技よりも早い段階からドクターが関わってきたんですね。

 

そのおかげでスポーツトレーナーとしての関わりも広まりやすかったのかもしれませんね。

今回は、日本代表チームにおけるスポーツトレーナーの活動の概要についてまとめてみました!

 

日本代表チームの活動

日本代表チームの活動

日本代表チームは1970年だ後半より展開されたナショナルトレーニングセンターシステムを底辺に四つの強化チームを中心に活動を行なっている。
四つの強化チームとは国際サッカー連盟(以下 FIFA)主催のワールドカップを目指すA代表(年齢制限なし)、国際オリンピック委員会主催のオリンピックを目指すU-23代表、FIFA U-20ワールドカップを目指すU-20代表、FIFA U-17ワールドカップを目指すU-17である。ワールドカップとオリンピックは4年ごとに開催、U-20、U-17ワールドカップは2年ごとに開催されている。これらの大会(A代表以外)には一定の年齢制限があるため、大会開催年に当該年齢になる競技者を招集して予選を戦い、目標となる大会を目指して活動を行なっている。

サッカーは俗に言う「トレセン」があるので、ジュニア期からプロまで一貫指導が可能になっているのが魅力的ですね!

他の競技でも県協会単位とか学校(法人)単位で同様の取り組みをされているところも増えてきたのではないでしょうか?

こういった取り組みをおこなっていくためには、職種の垣根を超えて多くの方々がうまく連携していくことが必要になります。

制度の問題や資格の問題などが弊害になってうまく連携がとれない場合が多いようですが、選手が安心して競技生活を送るためには大切なことだと思います。

こういった取り組みが増えてくるといいですね!

 

日本代表チームのスポーツトレーナー

日本代表チームのスポーツトレーナー

1960年代東京オリンピック、メキシコオリンピックにはドクターのサポート役として、マッサージや鍼灸の資格を有した者が「マッサー」という呼称でチームに帯同していた。
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現在は、専任アスレティックトレーナーが1名、年間150日程度の活動を行う契約アスレティックトレーナーが3名、この他、活動ごとに帯同するスポーットのアスレティックトレーナーが数名、合計15名程度のグループでサポートを行なっている。
専任アスレティックトレーナーがA代表以下U-15までの統括を行い、契約アスレティックトレーナーはA代表、U20〜18の帯同を中心に活動している。その他の活動に帯同するアスレティックトレーナーと合わせ、これらのアスレティックトレーナーグループはスポーツ医学委員会の下、一貫性のあるサポートを行なっている。

各年代ごとに担当のスポーツトレーナーが在籍しているシステムですね。

その各年代ごとのスポーツトレーナーを専任アスレティックトレーナーが統括し、一貫指導に繋げていってるようなので、非常に効率的なサポートが可能になりますね!

高校生や大学生にたいするサポートも学年ごとに異なる目標設定があると思いますが、チーム全体であったり、3〜4年の在学中の一貫指導ができるようなシステムをつくっていきたいですね。

 

帯同スポーツトレーナーの保有資格と選出について

スポーツ医学委員会は、専任アスレティックトレーナーはもちろんのこと、契約、スポットで活動するすべてのアスレティックトレーナーの帯同条件として、日本体育協会公認アスレティックトレーナーの資格を有することとしている。さらに、これまでの経歴を重視して、A代表についてはさらに何らかの医療資格を有するものを選考している。

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの資格所有が基本で、そのほかには、鍼灸やマッサー、理学療法士、NATA-ATCの資格を有している方が多いようです。

 

そして、スポーツ医学委員会がこれまでの経歴からアスレティックトレーナーリストを作成・管理して、帯同アスレティックトレーナーの選考に役立てられているようです。

 

日本代表チームのスポーツトレーナー業務の原則

代表チームとJリーグでは目標設定、活動環境、競技者、スタッフなどいろいろな面で大きな違いがあります。

代表チームのスポーツトレーナーが理解しておくべきことは「代表チームは単体のチームでありながら、そこで活動している競技者の帰属はクラブにある」ということです。

【Jリーグ規約より抜粋】
・第1条 誠実義務
選手は、プロ選手として自己のすべての能力を最大限にクラブに提供するため、常に最善の健康状態の保持および運動能力の維持、向上に努めなければならない。
・第2条 履行義務
ークラブの指定する医学的検診、注射、予防処置、および治療処置への参加。
ー協会、リーグ等の指定するドーピングテストの受検。
・第3条 禁止事項
ー国際サッカー連盟(FIFA)が定める禁止物質の使用。
・第7条 疾病及び傷害
選手は疾病または傷害に際しては速やかにクラブに通知し、クラブの指示に従わなければならない。
・第9条 クラブによる契約解除
疾病または傷害によりサッカー選手としての運動能力を永久的に喪失したとき。
クラブの秩序風紀を著しく乱したとき。

このようにJリーグでの試合で常に健全な状態で最高のパフォーマンスを発揮するために多くの項目が記されています。

代表チームのスポーツトレーナーはこれらの原則的な点を理解した上で、代表チームのスタッフとしてアスリートと向き合い、サポートをおこなわなければなりません。

しかし、代表チームのスタッフである以上は、『代表選手が代表チームの試合で最高のパフォーマンスを発揮すること』が最優先となるので、その兼ね合いが難しいところですね。

 

引用

『公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト①トレーナーの役割』p77-79