トレーナー活動の実際〜サッカー日本代表編〜

トレーナー活動の実際〜サッカー日本代表編〜

サッカー日本代表チームのスポーツトレーナーは、専任アスレティックトレーナー、契約アスレティックトレーナー、スポットのアスレティックトレーナーがアスレティックトレーナーグループが世代ごとにサポートしています。

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帯同するスポーツトレーナーは、代表チーム活動中の選手・スタッフの健康管理全般、ドクターのサポート業務、傷害にたいするファーストエイド、コンディショニング、治療、リハビリテーションなどをおこなうことになります。

以下にそれぞれの業務についてまとめていきます。

 

治療・リハビリテーション

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代表チームのアスレティックトレーナーが行う治療・リハビリテーションは、代表選手が所属するクラブのドクターではなく、代表チームドクターの診断や治療方針に沿って進める。治療については、物理療法、手技療法を中心に行う。リハビリテーションについては、目標とする試合を意識しながら患部だけでなく、フィジカル面も含めたコンディションを考慮して進めていく。

代表チームではその招集期間内のコンディションを整えていき、高いパフォーマンスを維持することが求められるので、通常のチームサポート時の治療・リハビリテーションとは異なる部分がありそうですね。

たとえば、長期間治療を要する外傷や障害を発症した選手は、所属クラブに戻って治療・リハビリをおこなうことになるので、代表チームでは長期的なリハビリにかかわることはありません。

逆に、短期的な治療・リハビリでの治癒が期待できる選手への対応がメインとなるため、ドクターと連携して、予後予測や復帰時期について検討していくことが求められます。

そのため、代表チームのスポーツトレーナーの業務は、コーチングスタッフとともに行うフィジカルコンディショニングや通常練習に参加できる競技者のメディカルコンディショニングが大きな役割の一つとなります。

 

 

メディカルルームの管理

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代表チームではメディカルルームを設置して、ドクターとアスレティックトレーナーが管理を行っている。大会時や遠征時の宿泊がホテルとなるため、通常はツインルーム2部屋を使用している。
一方をドクタールーム兼治療用ルーム(ドクターの診察、傷害の治療、物療などを行う)とし、もう一方をコンディショニングルーム(テーピング、マッサージ、ストレッチ、補強エクササイズなどトレーニング前後のコンディショニングを行う)として使用している。

ドクターも帯同しているので、2部屋確保して、役割分担しているようですね。

代表クラスであれば環境的にも理想的なものを用意できると思いますが、学生サポートの場合は、かなり限られた環境の中でサポートしていくことになります。

理想的な環境を知った上で、じゃあ、自分がサポートする場合にどういった環境にしていくか、しっかり考えていくことが大切ですね!
[aside type=”boader”]【メディカル用品の例:サッカー日本代表】
・治療用の移動式ベッド4台
・物療機器(超音波治療器2台、低周波治療器2台、レーザー治療器1台、ホットパック2個、冷却治療器1台)
・コンディショニング用品(ストレッチボード、ストレッチポール、バランスボール、バランスボード、ゴムチューブ、竹ふみ)
※ドクターは内服薬、点滴、装具、簡易手術器具などが入った、ドクター専用ジュラルミン(約2週間分の薬品が収納されている)を準備して治療を行っている。 [/aside]
 

 

コンディショニング

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疲労度の評価

代表チームの集合前に代表選手所属チームのスタッフより、外傷、スポーツ障害、コンディションなどの情報を入手する。一方で公式試合出場時間などを調査して、大まかな疲労度を評価する。
活動初日には、同一強度のランニングトレーニングを行うことで、心拍をハートレイトモニターで評価し、コンディションの指標として活用する。

 

 

疲労回復

代表チームの活動中の疲労回復をより促進するために、練習、食事、睡眠のサイクルのバランスを考慮する(生活リズムの良い習慣化)。疲労回復の手段として試合後、練習後にチームとして、ストレッチングを行う。またお風呂やジャグジー、サウナプールなどを利用して競技者自身が積極的に疲労回復をはかれるような環境づくりを行う。

合宿期間中や大会期間中は、普段とは異なる生活リズムになりやすいので、より生活リズムの習慣化を意識することが大切ですね!

選手はもちろん、スタッフにとっても、ストレスが大きくなるので、練習や食事、睡眠などの生活リズムに関する時間管理や環境づくりに努めていくようにしましょう。

 

傷害予防

個人の傷害既往歴より、個人別の補強エクササイズのメニューを作成して練習前後に行う。チームとしては、練習後にスポーツ障害の多発する筋肉や部位のストレッチングを行う。最近では傷害予防を意識したプログラムをウォーミングアップ時にフィジカルコーチとともに行う場合もある。

ここに関しては、通常のチームサポートと大きく異なる部分はないようです。

個々の身体機能や傷害既往歴に応じて、適切なエクササイズメニューを提供していくことが大切になりますね!

もちろんそれをドクターや監督、コーチなどのチームスタッフと共有し、連携を図っていくことも求められます。

 

体力測定

日本代表チームでは必要に応じて定期的にフィジカルチェックを実施している。
チームにフィジカルコーチがいる場合はフィジカルコーチとの連携によって実施する。

代表チームだけでなく、スポーツトレーナーとしてコンディショニングをおこなっていく上で、フィジカルチェックは重要になります。

選手やチームの体力レベルに見合うトレーニングメニューをプログラミングすることで、より効果的なコンディショニングになるからです。

さらにはそのコンディショニングが、目的におうじた結果を出しているかどうかの効果判定し、定期的にメニューを見直していくことも重要です。

そのためにも、フィジカルチェックは定期的に実施できるようにしていくと良いと思います。

 

環境対策

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合宿や遠征、大会に帯同する場合、活動の前に現地の環境を十分に調査し、監督、コーチ、ドクターなどのチームスタッフと協議の上、選手のパフォーマンスへの影響が最低限となるようなコンディショニングをおこなっていきます。

 

時差対策

競技者に時差がパフォーマンスに与える影響を理解させて、睡眠、食事、エコノミー症候群、時差解消のための運動など、また出発前の生活方法、移動時の注意事項、現地到着後の生活方法などを具体的にアドバイスする。

日本代表クラスになると、試合や合宿が海外でおこなわれることも多いですね。

海外遠征に帯同する機会のあるスポーツトレーナーはそれほど多くはないと思います。

そういったチームの帯同する場合は、事前に対策を練り、選手自身に伝えておくことが大切ですね。

 

暑熱対策

競技者に暑熱環境下がパフォーマンスに与える影響などを理解させる。
水分補給や汗腺への刺激、軽運動やクールダウン時の工夫などについて、目的地に入る前、目的地までの移動時、目的地到着後のそれぞれで適切なアドバイスを行う。

暑熱環境下での対策は非常に重要です。

活動開始時や活動中、必ずWGBTを計測し、熱中症などのリスクに留意するようにしましょう。

とくに水分補給にかんしては、運動中の摂取はもちろんですが、それ以外の時間帯にいかに水分補給を徹底させるかが重要となります。

 

その他

高地や劣悪な衛星環境下での大会時などは事前に十分な調査を行い、パフォーマンスへの悪影響が極力軽減できるような方策を考える。

いろいろな面で環境に馴化させることは非常に重要であり、あまりにも多くの制限を行い、競技者を「過保護」にすることは好ましい方法とは考えにくい。特に育成年代についての指導には十分な配慮が必要である。

合宿などで環境が変われば、国内であってもアスリートはストレスを感じます。

海外であれば尚更ですね。

アスリートに過剰な不安・ストレスを与えることがないよう環境対策には留意していくことが求められます。

 

クラブスポーツトレーナー、コンディショニング担当者との連携

スポーツトレーナー

代表チームのサポートになると、協会の方針、代表チームの方針、所属チームの方針、アスリート本人の方針があり、必ずしもそれらが一致するわけではありません。

アスリート本人とはもちろんですが、協会や代表チーム、所属チームのスタッフと密な連携をとりながら、サポートしていくことが求められます。

そのためにも「申し送り」などを活用して、しっかりとコミュニケーションを図っていきましょう。

 

 

引用

『公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト①トレーナーの役割』p80-84