テニスのトーナメントトレーナーとして帯同するときにおさえとくべきポイント

テニスのトーナメントトレーナーとして帯同するときにおさえとくべきポイント

日本国内でおこなわれているテニストーナメントは、男女一般主要大会、学生主要大会、ジュニア主要大会にくわえ、ベテランズ大会、日本リーグさらには国民体育大会、高校総体、その地域予選など、年間約600〜700大会が開催されています。

そのうち、男子の主要大会で約25大会、女子の主要大会で約27大会、ジュニア主要大会約25大会、学生主要大会3大会の約65大会がトーナメントトレーナーの派遣対象大会となっています。

日本テニス協会(JTA)は、医事委員会のなかにトレーナー部会を設置し、ドクターらとともに上記の主要大会65大会のうち約12大会へJTAトレーナーを派遣しています。

そのほかの大会については、地方などで開催されるため、各大会のディレクターや主催者が独自でトレーナーを配備しています。

JTA医事委員会では、テニストーナメントにおけるトレーナーの役割、業務を明確にし、それに基づいたテニストーナメントトレーナー育成制度の計画とトーナメントにおける医療支援体制の充実化を進めています。

テニストーナメントに関わるトーナメントトレーナーが全国どの大会においても、同じサービスが提供できるようにトーナメントトレーナーの育成と運営マニュアルの普及に努めています。

 

テニストーナメントにおける医事体制

テニストーナメントにおける医事体制

メディカルチーム

トーナメントディレクターは、トーナメントの開催に際し、大会期間中の医事体制を整えるために「メディカルチーム」を編成・配備し、あらゆる事態を想定しその予防対策と有事時に対応体制を整えています。

メティカルチームの構成は、①トーナメントドクター、②トーナメントトレーナー、③トーナメントディレクター、④レフリー、⑤アンパイアなどで構成され、医学的な専門知識と技術を持ち合わせた者だけでなく、トーナメントにかかわるすべての人たちが医学的問題とその対処について周知徹底されていることが重要です。

【メディカルチームの業務】
A)参加競技者の医学的サポート
B)参加役員の医学的サポート
C)観客のケガや疾病に関する応急処置
D)救急対策、後続医療機関の配備
E)安全対策
a)スポーツ障害防止対策
b)熱中症防止対策
c)落雷事故防止対策
d)自然災害対策(台風、地震など)
e)事件・事故対策(火災、テロなど)
F)関係役員への緊急対応訓練

 

トーナメントドクター

テニスのトーナメント規則では、トーナメントドクターは「オンコール(on call)」と規定されています。

「オンコール」とは、医学的処置が必要とされる場合に、その呼び出しに即座に対応できることで、会場内のメディカルルームに常駐することが基本となります。

しかし、トーナメントドクターが配備されている大会は規模の大きな大会に限られ、その他ほとんどの大会では緊急時の受け入れ病院やそれに対応できる医師を手配するにとどまっており、常駐しなければならないトーナメントトレーナーの役割は重要となります。

 

トーナメントトレーナー

テニスのトーナメント規則では、トーナメントトレーナーは「オンサイト(on site)」と規定されています。

「オンサイト」とは、アスリートが何らかの処置、手当てが必要で「メディカルタイムアウト」をとった場合に、常に初期対応にあたらなければならないため、会場内のトレーナー室に常駐することが原則です。

【トーナメントトレーナーの役割】
①トーナメントドクターらとともにトーナメントの安全対策を立てる。
②トレーナー室を運営する。
③メディカルタイムアウトに対応する。

トーナメントトレーナーには、参加アスリートの健康管理、コンディショニング、お応急処置などを担当する専門業務が求められます。

【トーナメントトレーナー選出基準】
1.JTAトーナメントトレーナー認定セミナーの修了・認定者
2.有資格者
①日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー資格
②マッサージ師免許
③鍼灸師免許
④柔道整復師免許
⑤理学療法士免許
⑥その他、上記資格に準ずる資格、またはJTA、医事委員会が認めたもの
②〜⑥の免許取得者においては、①の日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー資格を有する者が望ましい
【トーナメントトレーナーに必要な知識および技術】
<知識>
①テニスのルールと競技特性
②テニスのスポーツ傷害
③安全管理対策(救急体制、熱中症対策など)
④けいれん時の処置とその方法
⑤創傷の処置(水疱、陥入爪の処置を含む)
⑥その他必要な知識

<技術>

①救急処置(心肺蘇生法、AED使用訓練、固定法、運搬法含む)
②テーピング(包帯法、三角巾法を含む)
③ストレッチング
④その他必要な技術

<その他>

①コミュニケーション能力(スタッフとの連携)
②カウンセリング能力
③英会話
【トーナメントトレーナーの業務範囲】
①メディカルタイムアウトへの対応
②救急処置
③テーピング
④アイシング
⑤ストレッチング
⑥物理療法(医療資格必要)
⑦マッサージ(医療資格必要)
⑧カウンセリング
⑨トーナメントドクターとの連携
⑩その他スタッフ(ディレクター、審判団など)との連携

 

メディカルタイムアウト(MTO)

メディカルタイムアウト(MTO)

メディカルタイムアウト(MTO)は、ウォームアップをふくむ試合中にアスリートが、ケガや体調不良をきたしたとき、ドクターの診察やアドバイスあるいはトレーナーの応急手当てなどを要求することです。

ドクターまたはトレーナーが初期評価をおこない、処置が必要と判断すればコート内で1回につき3分間のメディカルタイムアウトをとり、治療または手当を受けることができます。

ただし、けいれんの場合については、1試合に1回のみの処置が認められています。

【手当てを受けられない状況】
1)病気、治療や手当てをしても改善しないと診断された症状
2)既往歴(試合前にすでの負っているケガなど)
ただし、プレー中にその症状が急激に悪化したと判断された場合は手当てを受けることができる
3)疲労、体力消耗的な症状
4)注射、酸素吸入、点滴を必要とする症状

 

MTOにおけるトーナメントトレーナーの対応手順

トーナメントトレーナーはレフェリーからアスリートがコート内でケガや体調不良のため、トレーナーの判断、処置が必要との要請を受けた場合、ただちにコートへ入り適切な判断と評価、処置、指導を行わなければなりません。

【実際のトーナメントトレーナーがおこなうMTOの対応手順】
①チェアアンパイアが試合を総括するレフェリーを通じ、アスリートからトレーナーの要求があった旨をトーナメントトレーナーへ連絡する。②トーナメントトレーナーはコート、アスリート氏名、傷害の状況を確認し、コートへ物品を確認しコートへ向かう。③コートに入りアスリートに状況を聴取し、適切に評価する。(評価に要する時間は、処置時間には含まれないが、通常、評価に要する時間は3分以内を目安とする。)④アスリートに評価結果を伝え、可能な処置方法を説明しアスリートと相談の上、処置方法を決定する。また、場合によっては試合を継続するか、棄権するかを決定しなければならない場合がある。
また、アスリートが体調不良を訴え、医薬品などの要求があった場合や医学的な処置が必要と判断された場合は、直ちにトーナメントドクターに連絡する。⑤処置方法が決まったら、処置をおこなう前に、アンパイアにMTOを適用し、手当てを始めることを告げる。(トーナメントトレーナーがアンパイアに申告してはじめてMTOの適用となる)

⑥処置に必要な物をそろえ、処置を開始することを審判に伝える。この時点からMTOの計時が開始される。

⑦処置時間は処置を開始してから3分間がMTOにあてられる。トレーナーは3分間以内で処置を終えなければならないため、テーピング、けいれんの処置、マメやその他の処置など手間のかかる処置でも3分以内で終える技術が要求される。

⑧審判は慣習にアスリートがMTOをとったことを告げ、処置時間の計測を開始する。
処置終了後は30秒以内にプレーを再開しなければならない。もしも、処置が時間内に終了できなく、かなりの時間が経過し、規定時間内にプレーを再開できない場合は、アスリートにたいし、コードバイオレーション「不当な遅延」の規定違反となり、処罰が与えられる場合があるため注意が必要である。

⑨処置が終わったらその旨を審判に告げ、速やかにコートから退出する。

⑩トレーナーはその後、MTO時の状況(時間、コート、競技者名、傷害部位、傷害名、処置内容、試合の継続か棄権かなど)を記録しMTO対応が終わる。

MTOをとったアスリートにたいしては、試合終了後にも継続的なケアが必要であり、経過観察しアスリートへ的確なアドバイスをすることが必要となります。

 

トーナメント終了後の活動

トーナメント終了後の活動

トーナメント終了後は、各種経費の清算、および大会開催期間中に記録した日報、利用者記録、MTOの記録などの業務をまとめ、報告書を作成し、医事委員への提出をもって完了となります。

提出された報告書は医事委員会よりJTA、大会責任者に配布されることになります。