[voice icon=”https://sports-trainers-share-site.com/wp-content/uploads/2019/01/13.png” name=”だいじろう” type=”l”]こんにちは
STSSトレーナーのだいじろうです
今回は、筋の機能解剖について基本的なところをまとめていきますね
『運動=身体を動かす』なので、収縮機能をもつ筋について知っておくことは大切です。
一緒に学んでいきましょう![/voice]
スポーツトレーナーが知っておくべき運動器の機能解剖
運動器とは、身体の運動に関係する組織・器官(骨・関節・筋・腱・靭帯・神経など)の総称です。
それぞれの組織や器官には独自の作用・機能があり、それらが連動・連携して運動器としての役割を発揮しています。
スポーツトレーナーが知っておくべき運動器の機能解剖として、次の項目について学んでいきましょう!
[aside type=”boader”]・骨の構造と機能
・関節の構造と機能
・靭帯の構造と機能
・筋の構造と機能
・骨格筋の神経支配[/aside]
今回は筋の構造と機能についてまとめていきます。
骨格筋の構造
骨格筋は、いくつか筋線維束を筋外膜がおおう構造になっています。
筋線維束は筋周膜という膜に包まれていて、その中に筋線維が存在します。
その筋線維の多くは筋原線維で構成され、筋内膜という膜におおわれています。
筋原線維の表面には、複数の横行小管系(T管)や筋小胞体、核が存在し、筋原線維の間にはミトコンドリアが存在します。
筋原線維は、Z帯から伸びるアクチンフィラメントとその間にあるミオシンフィラメントで構成されています。
アクチンフィラメントはアクチンとトロポニン、トロポミオシンの集合体で、その表面にカルシウムイオンが結合します。
ミオシンフィラメントは、頭部と尾部とに分かれ、その表面には、アデノシン三リン酸(ATP)の分解を触媒するATPaseがあります。
筋と骨の連結
骨格筋は、腱を介して骨へと付着します。
筋と腱の境界は筋腱移行部となり、筋と腱が密接に連結し、筋の収縮力を腱に伝えることができます。
腱は、コラーゲン線維が密に集合した腱原線維と腱細胞の集合体である腱線維の間に毛細血管が入り込んだ構造をしています。
腱の骨付着部は、異なる組織によってつくられている多層構造になっています。
骨格筋の収縮メカニズム
筋収縮は、アクチンに付着したミオシンの頭部がATPのエネルギーによって屈曲して滑走する滑走説が有力です。
この滑走説にはα運動ニューロンからの信号が関与しています。
α運動ニューロンの信号は、神経筋接合部でT管を興奮させ、筋小胞体からカルシウムイオンを放出させます。
放出されたカルシウムイオンがアクチンと結合すると、そこにミオシンの頭部が接合します。
ミオシンでATPがADPとPiに加水分解されてエネルギーが放出されるとミオシンの頭部が屈曲し、アクチンとミオシンの間で滑走が生じます。
筋収縮の弛緩においてもカルシウムイオンの働きとATP再合成が必要となります。
エネルギー供給系
筋収縮にはATPが必要ですが、筋内のATPの量はわずかであるため、運動を継続するためには消費したATPを再合成し続ける必要があります。
ATPを再合成するためのエネルギー供給系として、ATP-CP系、解糖系、酸化系があり、運動時間によって変化します。
ATP-CP系
ATPを最も短時間に再合成することができる反応です。
クレアチンキナーゼ(CK)によってクレアチンリン酸(PCr)が分解されると、“ADP+PCr⇄ATP+Cr”の反応が起きます。
解糖系
解糖系は2種類に分けられます。
1つ目は、グリコーゲンまたはグルコースを用いてATPを再合成するものであり、酸素を使わずにピルビン酸を乳酸に変換してATPを再合成するもの。
これは無酸素的解糖といいます。
2つ目は、ピルビン酸をアセチルCoAに変換して、酸素を用いながらTCAサイクルおよび電子伝達系で多くのATPを再合成するもの。
これは有酸素的解糖といいます。
無酸素的解糖は、比較的早くATPを再合成することができますが、疲労の指標である乳酸を生成してしまうという側面があります。
酸化系
脂質をβ酸化してアセチルCoAにまで分解し、その後、有酸素的解糖と同様にTCAサイクルおよび電子伝達系で酸素を用いながらATPを再合成する過程。
糖質と脂質は分子構造が異なるため、脂質のほうがより多くアセチルCoAを作り出すことができ、多くのエネルギー供給が可能となります。
β酸化の反応はゆっくりであるため、一気に多量のエネルギーを放出することはできません。
骨格筋線維のタイプ分類
筋線維は、単収縮の持続時間の長さによって、遅筋線維と速筋線維に分類されています。
遅筋線維はTypeⅠ線維・SO(slow-twitch oxidative fiber)線維、速筋線維はTypeⅡa線維・FOG(fast-twitch oxidative glycolytic)線維とTypeⅡb線維・FG(fast-twitch glycolytic fiber)線維と表現されます。
TypeⅠ線維は、収縮速度が最も遅く、筋の張力も低いですが、毛細血管密度が高く、酸化系にエネルギー源をもつため疲労しにくく、長時間収縮しつづけることが可能です。
TypeⅡb線維は、収縮速度が速く、単収縮で得られる筋の張力も最も高いため、爆発的に高い収縮力が得られます。
筋内グリコーゲンを多く含み、エネルギー源として無酸素生解糖をもつため披露しやすいという特徴があります。
TypeⅡa線維は、TypeⅠ線維とTypeⅡb線維の中間の特性をもちます。
α運動ニューロンには、細胞体が小さく少数の筋線維を支配し、興奮の閾値が低く伝導速度が遅いものと、細胞体が大きく多数の筋線維を支配し、興奮の閾値が高く伝導速度が早いものがあります。
前者はSO線維を支配し、後者はFG線維を支配しています。
徐々に筋力を発揮するときには、最初にSO線維が動員され、筋力の増大にともなって、FOG線維、FG線維が動員されるようになります。
筋収縮の様式
筋収縮様式には、等尺性収縮、等張性収縮、等速性収縮の3つに分けられます。
等尺性収縮(isometric contraction)は、関節運動が生じない筋収縮。
等張性収縮(isotonic contraction)は、関節運動を伴い、筋の張力が一定の筋収縮。
等速性収縮(isokinetic contraction)は、関節運動を伴い、関節の運動速度が一定の筋収縮。
トレーニングの観点からみると、等尺性収縮は、場所を選ばず負荷を加えて実施することができますが、実施した関節角度付近しか十分な効果が得られないとされています。
等張性収縮は、等尺性収縮と比べて、筋持久力の増大にたいして効果的であり、筋疲労からの回復も早いが、場所や特別な機材を要するという特徴があります。
等速性収縮は、全運動範囲で最大筋力を発揮し続けることができ、筋力強化において最も効果的であるが、高価な機器を必要とし、操作も簡便ではありません。
等張性収縮と等速性収縮は、それぞれ求心性収縮と遠心性収縮とに分けられます。
求心性収縮(concentric contraction)は、筋長を短縮させながら収縮する様式。
遠心性収縮(eccentric contraction)は、筋長を延長させながら収縮する様式。
これらの収縮様式によって発揮筋力は変化していきます。
筋腱複合体
筋と腱は力の発揮携帯が異なります。
筋は収縮によって能動的に力を発揮し、腱は筋収縮によって受動的に伸張される弾性体としての力を発揮することができます。
これらの機能が相互に作用しあっているものが筋腱複合体です。
筋収縮と張力
力ー長さ関係
筋収縮によって生じる張力は、アクチンとフィラメントが滑走に最も適した筋節長のときに発揮されます。
このときの筋節長さを至適筋節長といいます。
筋節がこれ以上に長くても短くても張力は減少するとされています。
力ー速度関係
負荷が少ない状態では筋長の変化する変化が速くなり、負荷の増加によって筋長の変化する速度が遅くなることを“力ー速度関係”といいます。
速度と最大筋力は反比例の関係。
運動速度が遅いほど、発揮される最大筋力は増大する傾向になります。
筋の形状
筋は、形状によって紡錘状筋と羽状筋に大きく分けられます。
そのほかにも、二頭筋、半羽状筋、多腹筋、鋸筋などに細かく分けられることもあります。
紡錘状筋は、紡錘形の形状に沿って筋線維が長軸方向に走行しています。
羽状筋は、筋内で筋線維が斜め方向に走行して中央を縦走する腱に付着しており、羽状筋の腱の走行にたいする筋線維の走行がなす角を羽状角といいます。
最大筋力の発揮
最大筋力は、筋断面積に比例し、筋量が多いほど最大筋力は増加します。
筋断面積には、2種類あります。
解剖学的断面積と生理学的断面積です。
[aside type=”boader”]●解剖学的断面積:筋の長軸にたいする垂直面の断面積
●生理学的断面積:羽状角に垂直な断面積の総和 [/aside]
筋の形状でみると、紡錘状筋では解剖学的断面積と生理学的断面積がほぼ等しくなりますが、羽状筋では筋線維が生理学的断面積が解剖学的断面積より大きくなります。
筋の周径が同程度であれば、紡錘状筋よりも羽状筋の方が強く筋力を発揮できます。
神経性因子も最大筋力に影響します。
参加する運動単位が増加することで収縮する筋線維数も増加し、発揮される筋力も増大します。
[aside type=”boader”]【運動単位】
1本のα運動ニューロンとそれに支配される筋線維群[/aside]
また、α運動ニューロンの発射頻度を増加させることによっても発揮される筋力は増大します。
筋収縮と関節運動の関係
筋収縮による運動方向の決定
起始部と停止部との間で筋が収縮することによって、関節運動が生じます。
その関節運動は、関節の運動軸に対する筋の走行によって決定されます。
とくに股関節や肩関節などの関節では、筋の走行と関節軸との位置関係によって作用が変化するものがあります。
関節運動時の筋の働き
●主動筋
筋収縮によって関節が運動するとき、その関節運動に作用する主な筋。
●共同筋
ある関節運動を引き起こすとき、主動筋とともにその関節運動に参加する筋。
●固定筋
ある関節運動を引き起こすとき、等尺性収縮によって、関節を固定してい支持性を与える筋。
●拮抗筋
主動筋と逆の働きをする筋。
単関節筋と多関節筋
1つの関節のみをまたいで走行する筋を単関節筋といい、複数の関節をまたぐ筋を多関節筋といいます。
大腿四頭筋のなかでは、内側広筋や外側広筋、中間広筋は単関節筋、大腿直筋は多関節筋。
力ー長さ関係から考えると、股関節屈曲位では、大腿直筋の収縮力は低下する。
筋をストレッチする際でも、内側広筋や外側広筋、中間広筋は、股関節の角度にかかわらず、膝関節を屈曲させることで伸張されます。
しかし、大腿直筋は、股関節伸展を伴わないと十分に伸張することができません。
[kanren2 postid=”1390″]
[kanren2 postid=”3015″]
[kanren2 postid=”3018″]
[kanren2 postid=”3022″]