[voice icon=”https://sports-trainers-share-site.com/wp-content/uploads/2019/01/13.png” name=”だいじろう” type=”l”]こんにちは!
STSSトレーナーのだいじろうです。
これまで運動器の機能解剖として、骨、関節、靭帯、筋についてまとめてきました。
最後は、筋を収縮させ、動作をおこなっていくために必須となる神経支配についてです。
人の動きは神経の複雑な作用によって成り立っています。
基本的なところから一緒に学んでいきましょう![/voice]
スポーツトレーナーが知っておくべき運動器の機能解剖
運動器とは、身体の運動に関係する組織・器官(骨・関節・筋・腱・靭帯・神経など)の総称です。
それぞれの組織や器官には独自の作用・機能があり、それらが連動・連携して運動器としての役割を発揮しています。
スポーツトレーナーが知っておくべき運動器の機能解剖として、次の項目について学んでいきましょう!
[aside type=”boader”]・骨の構造と機能
・関節の構造と機能
・靭帯の構造と機能
・筋の構造と機能
・骨格筋の神経支配[/aside]
今回は骨格筋の神経支配についてまとめていきます。
骨格筋の神経支配
身体運動は、姿勢を保持し、関節運動を伴いながらおこなわれます。
そのためには、骨格筋の活動は不可欠であり、骨格筋を制御する中枢神経系と、中枢神経系と骨格筋・腱を結んで情報伝達をする末梢神経系の働きが重要となります。
骨格筋の運動制御では、一般的に大脳や小脳、納竿、脊髄といった中枢神経系が統合的に機能しています。
一方で、中枢神経系からの一方的な運動制御だけでなく、体性感覚などの末梢神経系からの情報により、運動調整をおこなっています。
これらの調節制御の伝達は、中枢神経系から骨格筋制御をおこなう運動神経、骨格筋の状況となる体性感覚を伝達する感覚神経により行われています。
運動神経
運動神経は、太い神経線維のα運動ニューロンと細い神経線維のγ運動ニューロンからなります。
脊髄前角細胞から伸びたα運動ニューロンの軸索突起は骨格筋で分岐し、数本〜数千本の筋線維を支配します。
1つのα運動ニューロンとそれに支配を受ける筋線維をまとめて『運動単位』といい、運動単位は常に同時に活動します。
1つの運動単位において支配される筋線維数を『神経支配比』といいます。
眼球や手のような巧緻性の高い動きが求められる筋は神経支配比が小さく、体幹など大きなパワーが求められる筋は神経支配比が大きくなります。
γ運動ニューロンは、骨格筋の長さの変化を感知する筋紡錘に至り、筋紡錘を構成する錐内筋線維を支配しています。
感覚神経
感覚神経は、筋の長さや腱に加わる張力を感受する筋紡錘および腱器官からの感覚を伝達します。
求心性神経とも呼ばれ、筋紡錘からⅠa群求心性線維やⅡ群求心性線維が、腱器官からⅠa群求心性線維が、中枢神経系に情報を伝達しています。
これらの神経伝達システムを基盤として、身体運動には、なんらかの刺激によって誘発される不随意運動などもあります。
この不随意運動はとくに「反射」といい、反射中枢により制御された規定の運動応答を導いていきます。
私たちの身体運動は、このような意識でコントロールできない不随意運動と、意識でコントロールされる随意運動の組み合わせによって遂行されています。
骨格筋の感覚器
筋紡錘
筋紡錘は骨格筋線維と並列に位置します。
1つの筋紡錘は、2〜12本の錐内筋線維と、この線維を支配する感覚神経終末と運動神経を支配するγ運動ニューロンからなり、筋の長さを感受します。
錐内筋線維は、核袋線維と核鎖線維とに分けられます。
核袋線維と核鎖線維の中間部には螺旋状に巻きついた一次終末があり、Ⅰa群求心性線維として錐内筋線維の伸張を感受します。
核鎖線維には散形の二次終末があり、Ⅱ群求心性線維として情報を伝達します。
筋紡錘の密度は、筋によって異なります。
手指など巧緻性が求められる運動をおこなう筋では、その密度は高くなります。
筋紡錘の感度は、γ運動ニューロンにより制御されており、γ運動ニューロンの興奮にともなう錐内筋線維収縮により筋紡錘の感度をあげます。
錐外筋が収縮すると、筋紡錘における錐内筋線維は弛緩するが、γ運動ニューロンによる錐内筋線維の収縮により筋紡錘の緊張を一定に保つことができます。
随意運動では、α運動ニューロンのみならずγ運動ニューロンも同時的に機能し、骨格筋の収縮に伴って起こる錐内筋線維の弛緩が起こらないようになっています。
このように、筋紡錘の感度は、α運動ニューロンによる錐外筋の収縮とγ運動ニューロンによる錐内筋の収縮とγ運動ニューロンによる錐内筋の収縮の連関により制御されています。
とくに上位中枢からの制御によりγ運動ニューロンの興奮は、筋紡錘のⅠa群線維の興奮を介してα運動ニューロンに作用し、筋緊張を制御します。
この中枢神経→γ運動ニューロン→筋紡錘→Ⅰa群求心性線維→α運動ニューロンで構成される回路をγ環(γループ)といいます。
腱器官
腱器官は筋と腱の移行部に直列に位置し、骨格筋および腱を強く伸張することで腱器官が反応します。
腱器官からの求心性反応は、Ⅰb群線維により脊髄を経由して、γループにより伸張した筋の収縮を抑制します。(Ⅰb抑制)
腱器官の感度は筋紡錘よりも低いため、筋が急激に伸張された場合には、筋紡錘からの求心性応答で伸展反射が起こりますが、強い伸展では腱器官からの求心性応答にⅠb抑制が働き、伸張した筋が弛緩します。
反射
反射とは、なんらかの刺激によって誘発される無意識からでの運動応答のことをいいます。
反射が生じるためには、特定の刺激が受容され、反射中枢による制御のもと、骨格筋の収縮を導く経路が機能する必要があります。
この経路を『反射弓』といいます。
反射中枢は脊髄レベルで完結するものから、上位中枢が関与するものまで存在します。
反射運動は、その運動発現と特性によって局在性反射と全身性反射の2つに分けられます。
局在性反射
●伸張反射
筋を急速に伸張することで、その筋が収縮する反射。
伸張反射の反射弓は、筋伸張→筋紡錘の興奮→Ⅰa群求心性経路→脊髄→同筋のアルファ運動ニューロン→同筋の収縮です。
膝蓋腱反射やアキレス腱反射など。
●屈筋反射
四肢の皮膚などに熱や痛みといった侵害刺激が加えられることで、その肢が屈曲方向の運動を起こす反射。
反射弓では、その肢の屈筋を支配する運動ニューロンと興奮と、伸筋を支配する運動ニューロンの抑制として屈曲動作を導きます。
全身性反射
●緊張性頚反射(Tonic Neck Reflex:TNR)
緊張性頚反射は、頚部の動きで四肢の筋緊張が変化する反射。
原始反射であり、生後数ヶ月でみられ、5〜6ヶ月で消失するとされています。
緊張性頚反射は、非対称性のものと対称性のものがあります。
・非対称性緊張性頚反射
頭部を回旋させた際に、顔面が向けられた側の上下肢伸展筋の緊張が高まり、対側後頭側の上下肢が屈曲する反射
・対称性緊張性頚反射
頚部を屈曲させた際に、両上肢が屈曲、両下肢が伸展し、頚部を伸展させた際に、両上肢が伸展、両下肢が屈曲する反射
●緊張性迷路反射(Tonic Labyrinthine Reflex:TLR)
緊張性迷路反射は、前庭迷路の刺激によって起こり、眼筋、頚部筋、四肢・体幹筋を応答部位とした動的姿勢反射運動。
姿勢の維持にかかわります。
●立ち直り反射
立ち直り反射は、運動時の身体平衡や身体位置の平衡など、直立姿勢の維持にかかわる反射。
迷路性、体幹性、頚部性、視覚性の反射があるとされています。
随意運動
自分の意志に従って骨格筋を制御する運動を随意運動といいます。
運動が意識され運動発現が起こり、正確な調整制御により完遂するまでには、さまざまな中枢神経系が関与します。
・大脳辺縁系:運動の動機に影響を与える
・大脳連合野や大脳運動野:実際の運動を計画する
・大脳基底核や小脳:運動の調整や運動プログラムの形成に関与する
とくに大脳皮質にける一次運動野、運動前野、運動補足野の3つの領域は、運動の企画、制御に直接的にかかわっているとされています。
一次運動野からは、『錐体路』という出力線維が出ており、この錐体路は錐体で左右交差して脊髄の運動ニューロンに到達し、全身の運動制御にかかわります。
錐体路がすべての運動を制御するものではありませんが、大脳からの重要な随意運動回路の1つとされています。
運動プログラム
実際の運動の発現には、全身にある骨格筋をすべて制御する必要があります。
運動の目的に応じて、必要な複数の筋を、必要なタイミングで、必要な出力で活動するよう指令します。
この一連の運動指令セットを『運動プログラム』といいます。
運動プログラムは、繰り返された運動経験から運動にかかわる中枢神経系において機能的に構築されていきます。
つまり後天的にプログラムされていくものと捉えることができます。
運動制御の調節機構
運動が発現された結果、その筋出力のタイミングや、結果として起こる関節位置などが、体性感覚として運動制御の中枢機構にフィードバックされてきます。
これにより、自分が意図したした運動が完遂されているかどうかを確認します。
このフィードバック機構で重要な機能を担っているとされているのが、小脳を経由する回路です。
意識された運動と発現された運動のズレは、この経路を経由して大脳皮質に到達し、運動が再制御されることになります。
このように中枢神経系による運動発現の結果を、体性感覚などからフィードバックを受けることを『閉ループ制御』といいます。
逆に、短時間で完遂するような運動で、このフィードバック機構が機能しないものを『開ループ制御』といいます。
随意運動は、自分の意識による運動発現とそれにともなう運動制御において、運動の調節機構を活用し完遂されていきます。
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