海外のスポーツトレーナーにはどんなものがあるの?

海外のスポーツトレーナーにはどんなものがあるの?

日本独自のトレーナーの資格として代表的なものはJSPO公認アスレティックトレーナーがあります。

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日本独自のトレーナーの資格は多くないため、海外の任意団体の資格をもつトレーナーさんも多く活動されています。

今回は、海外のトレーナーについてまとめていきます!

 

アメリカにおけるスポーツトレーナー

スポーツトレーナー

全米アスレティックトレーナー協会(NATA)

NATAの歴史

アメリカにおけるアスレティックトレーナーの歴史は、1881年にJames Robinsonがハーバード大学に雇用されたのが始まりとされています。

その後、1938年に第1期の全米アスレティックトレーナー協会(National Athletic Trainers Association:NATA)が設立されました。

しかし、この団体は第二次世界大戦の影響で解散を余儀なくされ、1950年に現在のNATAが改めて設立されました。

【NATAの理念】
競技者および身体活動を行う人々に対する健康管理の質の向上、および外傷・障害の予防、評価、処置、リハビリテーションの領域において教育と研究を通してアスレティックトレーナーの職業的発展を図ること

アメリカでは、アスレティックトレーナーは、医師および関連する専門職と協力して、高校、大学、プロの競技者の健康管理に当たるだけでなく、近年では広い意味で身体活動を行う人々の健康管理も実践する専門職として、その職業的地位が確立されてます。

1967年にはアメリカ医学協会(American Medical Association:AMA)により競技者の健康管理を行うスポーツ医学チームの一因として公式に認知され、さらに1990年にはAMAによって準医療従事職として公式に認知されています。

アスレティックトレーニング教育プログラム

専門職としてのアスレティックトレーナーが普及、確立する上で欠かすことのできないものであり、1959年に最初のカリキュラム案が作成されました。

現在では、Commission on Accreditation of Athletic Training Education(CAATE)がアスレティックトレーニング教育プログラムの認可を行なっており、その認可基準はアメリカ整形外科スポーツ医学会、アメリカ家庭医学会、アメリカ小児科学会、NATAによって承認されています。

CAATEは、カリキュラムの内容をAthletic Training Educational Competenciesの内容に規定し、アスレティックトレーニング専門領域を12項目に細分化し、それぞれ項目ごとに認知的領域、精神活動的領域、情動的領域を明確化し、さらに教育目標を詳細に列挙しています。

【アスレティックトレーニング専門領域】
1.リスク管理と外傷・障害の予防
2.外傷・障害、内科的疾患の病理
3.臨床的検査と評価・診断
4.外傷・障害に対する救急処置
5.薬学
6.物理療法
7.運動療法
8.一般的な医学的状態と障害
9.外傷と疾病の栄養学的側面
10.心理学的介入と照会
11.健康管理
12.専門職としての資質の向上と責任

資格認定試験

アスレティックトレーナー資格の認定は、教育プログラムと並んでアスレティックトレーナーの職業的地位の確立に欠かすことのできないものとして、教育プログラムとほぼ同時期に資格認定委員会(NATA Board of Certification:NATABOC)による検討がはじめられました。

NATABOCは健康関連職資格認定組織の認可をおこなっているNational Commission for Health Certifying Agencies(NCHCA)の認可基準を満たすために、1989年にNATAから完全に独立した組織Board of Certification(BOC)となりました。

本資格は、日本ではNATA公認アスレティックトレーナーと称されることが一般的ですが、厳密にはBOC公認アスレティックトレーナーが正しい名前です。

アスレティックトレーナーの認定試験は、筆記試験、口頭/実技試験、シミュレーション試験の3つから構成され、それぞれ順に知識、技術、問題解決能力を検定する形式となっています。

BOCでは、資格認定試験の実施以外に公認アスレティックトレーナーの質の向上を図る目的で、1993年から資格取得後の継続教育制度を開始しています。

まとめ

NATAでは1970年前後より、アスレティックトレーナーの社会的認知を背景とした職業的地位の確立のために、教育プログラム、認定試験制度をはじめ、その後これらの制度の信頼性、公平性を維持するために、プログラムの認可、資格認定の部分を外部団体に移行しました。

今後は、新たな資格取得者にたいしていかに職場を確保するかが大きな課題です。

そのためNATAでは、広報活動、調査・研究活動などを通して高校レベルでのさらなる雇用の促進をはかるとともに、企業/工場での従業員の健康管理の場など比較的新しい職域への進出も積極的に推進しています。

 

World Federation of Athletic Training and Therapy(WFATT)

World Federation of Athletic Training and Therapy(WFATT)は、アメリカのNATAとカナダのCATAが中心となって2000年末に設立されたアスレティックトレーナー、アスレティックセラピストの世界的組織です。

現在は9カ国14組織および2教育機関が会員となっており、日本スポーツ協会は、設立時より会員となっており、主導的な役割を担っています。

WFATTは、スポーツ、運動、傷害/疾病の予防と処置の分野における各国の健康管理職団体の連合体であり、加盟団体の協力と努力を通して高品質の健康管理と機能的活動を振興することを使命としています。

WFATTは以下のような目標を掲げています。

①会議と情報交換手段を通じて、教育と専門的業務を含めたactive populatinのための健康管理に関する偏りのない情報交換のための国際的フォーラムを開催する
②active populationに対する健康管理の質を向上させるために、加盟団体間での共同研究の機会を提供する
③active populationの健康管理を行う専門家と団体にたいして情報を提供する
④スポーツ、健康管理、統括団体との国際的、国内的関係の発展を促進する

カナダにおけるスポーツトレーナー

スポーツトレーナー

カナダのトレーナー制度(CATA)

カナダにおけるトレーナー制度はカナダアスレティックセラピスト協会(Canadian Athletic Therapists Association:CATA)により運営され、CATAが公認するトレーナー資格は、アスレティックセラピストと呼ばれ、ATCやCAT(C)と表記されています。

CATAはWFATTの会員でもあり、アメリカや日本をはじめとするトレーナーとの連携も積極的にすすめています。

 

CATAの歴史

カナダにおける公認トレーナーの活動は、アメリカのNATA公認アスレティックトレーナーが中心にすすめられたのがはじまりとされています。

そのトレーナーの中の9人が1965年にカナダ独自のトレーナー制度を発足させようと集い、現在のCATAの基盤組織が成立させました。

組織は日常的にスポーツをおこなう人に対するケガの予防、応急処置やリハビリテーション技術を高いレベルに確保し、提供することを目的とした非営利組織です。

現在では国内におけるさまざまなスポーツ現場や健康産業の分野でCAT(C)が独立して活動できる環境が存在し、めざましい発展を遂げています。

 

アスレティックセラピスト(CAT(C))とは

CAT(C)の仕事は大きく分けてフィールド業務とクリニック業務とに分けられます。

フィールドでは、テーピング、応急処置、ケガの評価などが活動の中心であり、クリニックでは、怪我の評価、リハビリテーションなどを行います。

CAT(C)はカナダ国内においてクリニックを開業する権利をもっており、筋・骨格系傷害に対する専門職として臨床に重点を置いてアスリートやクライアントの健康管理に直接従事することができる環境をもっています。

 

CAT(C)への道

CAT(C)になるためには、CATAが公認する大学に入学することが必要になります。

その後、CATAの準会員となりCATAによる教育プロセスを経て、公認検定試験を受ける前提となる臨床実習では、SAT(Supervisory Athletic Therapist)の監督のもとで、1,200時間の実習時間が課せられています。

ライセンス取得まで大学入学後、最短で約5年を費やし、多くは6〜7年かかっているのが現状です。

 

CAT(C)認定校

2006年3月現在、CATAに認定されている大学は6校で、それぞれの大学の定員は20〜30名なので、アスレティックセラピストになるのは難しいようです。

臨床医学系に関する講義内容はカナダにおける理学療法士の養成カリキュラムに一部準じておりクリニックでの身体評価、リハビリテーション、物理療法についてかなり細かく学び、マニュアルセラピーの授業の存在などが特徴とされています。

公認検定試験は筆記試験と実技試験からなる2つのパートに分類されています。

 

ヨーロッパや韓国のプロサッカーのスポーツトレーナー

スポーツトレーナー

世界でもっとも盛んなスポーツであるサッカーを例にヨーロッパ、韓国の制度についてまとめていきます。

Jリーグでは、健康管理の責任は、日本国医師免許をもつチーム専属の医師と規定されています。

トレーナーに関して明確な規定はありませんが、2006年度ではJ1とJ2のトレーナーの35%が日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーで、マッサー登録の7〜8割が鍼灸師、マッサージ師です。

 

ブンデスリーガ(ドイツ)

ブンデスリーガでは、医学的管理の責任は、日本と同様ドイツ医師免許を保持する医師と規定され、トレーナー業務は、PTが90%近くを占め、次いでマッサージ師が9%です。

なお、リハビリテーションについては、多くのヨーロッパ諸国ではPTに開業権があり、長期のリハビリや術後のリハビリは、チームを離れてそのようなリハビリ施設で行うことが多いようです。

 

リーグリアン(フランス)

リーグアンにおいても、医学的管理の責任はフランス医師免許を保持する医師にあります。

リーグアンでは、試合だけでなく、練習時においても医師1名と理学療法士2名の同行が義務づけられており、フランスの規定はヨーロッパでも厳しいようです。

業務内容は日本とほぼ同様ですが、医師を中心とした予防のためのチェッックや疲労回復のリカバリーにメディカルチームの重点が置かれています。

 

プレミアリーグ(イギリス)

プレミアリーグは、おそらく一番古いサッカーリーグで1888年に開始されています。

「1部の試合時には、医師、理学療法士、救急隊員が帯同する。練習では理学療法士のみでよい。」と規定されています。

フィジカル面の担当は、スポーツサイエンスチームと呼ばれ、構成はフィットネスコーチとストレングスコーチの2人があたり、トレーニングの指導、試合前のウォームアップ、アジリティドリル、体力測定などを担当しています。

 

Kリーグ(韓国)

日本より一足先にプロとなったKリーグは、13チームで構成され、1チームあたり2人程度のトレーナーが勤務しています。

トレーナーの業務は日本と同様であるが、全体の2/3は、KATAとよばれる大韓アスレティックトレーナー協会の資格を所持し、残りが理学療法士の資格を所持しているようです。

 

まとめ

以上のように、アメリカやカナダではトレーナーが医療従事者とほぼ同等な立場で活動しているようです。

日本でも徐々にスポーツトレーナーの認知が広がってきており、今後はアメリカやカナダと同じようにスポーツトレーナーの地位も向上していくかもしれませんね。

また、サッカーにおいて海外のプロリーグでは、アスレティックトレーナーと理学療法士が同様の役割を果たしている部分が多いようです。

日本においてもスポーツトレーナーとして活動している理学療法士が多いので、スポーツトレーナーに求められる資質やスキルが、理学療法士の資質やスキルと似通っているからだと考えられます。

こういった現状をふまえて、スポーツトレーナーとしての専門スキルを向上させることはもちろん、チーム関係者やスポーツドクター、メディカルスタッフなどとしっかりとした協力体制を整えていきましょう!